数学で儲けようとすると嫌われる話
本の紹介です
この本、題名がなんというか、ダサくって、自分で手に取ってみようと思う人っていないんじゃないかなあ、、、、
でも面白いよ
カーマーカー特許とソフトウェア―数学は特許になるか (中公新書)
- 作者: 今野浩
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1995/12
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 15回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
例えばね、野菜が10種類あって、それぞれ栄養素が違う場合、何をどのくらいの量食べるのが最もバランスよく、そして効率よく栄養を吸収できるか?っていう計算の話です。これって組み合わせを総当たり戦で計算していくと、結構時間がかかるので、大体のあたりを付けてから、ちょこちょこ変えながら正解に近づけていくんだそうです。
数学の世界では、線形計画法って言うんだけど、これをムチャ速く計算する方法を見つけ出したインド人がいました。
このインド人:カーマーカーさんは何をやったかというと、アメリカの国内旅客機を飛ばす場合、機長と副機長それにスッチーをどこからどこに飛ばしてどこで休ませると、宿泊費込みで最も安上がりになるかっていう計算を編み出したの。
そして、これを計算するハードウェアとソフトウェアをセットで航空会社に売り込んだのです。その金額が全くかわいげがなかったので、「数学を金儲けの道具にしている」ってものすごい批判を浴びました。
さらに、反対派の数学者が集まって、カーマーカーを買わなくてもおんなじことができるソフトウェアをただで作ろうと躍起になるの。でもそんな、かっこいいプログラムがすぐに出てくることもなく、大奮闘するのでした。ちなみに反対派が作った機械の名前は「オビワン」スターウォーズのオビワンケノービみたいに正義の騎士というわけですね。
最終的には、オビワンでも同じ事が出来るところまでいって、中身がブラックボックスだったカーマーカーは結局1台(しかも実績作りのために格安でいれた)しか売れずに終わったそうです。
面白いですよ
今IT業界ではオープンソースっていって、プログラムを全部みせちゃうやり方が流行ってきているのですが、思えばこのころにその芽が生まれていたのかもしれません。